映画俳優のチャン・ジニョンは、少し変わった方法でスターになった。92年ミス忠南ジンに選ばれ芸能界入りを果たした彼女は、スマートな体型と西洋的で可愛らしい容姿によってCM界の妖精と呼ばれるほどになった。以後、50編あまりのCMに出演、純粋な美しさとセクシーな魅力を同時に振りまきながら人気モデルとして活躍していた。そうした中、KBSミニシリーズ<私の中の天使>で一躍ヒロインに抜擢され、演技の道へ足を踏み入れた。
映画ではデビュー作<ジャギモ>で愛した人を忘れることができずに心痛める医者の役を熱演して好評を得たし、<反則王>ではクールな中性的キャラクターのプロモーターであり館長の娘役を演じ新人らしからぬ安定した演技を見せてくれるなど、幅広い演技の実力を認められた。そんな彼女は映画「ソルム(鳥肌)」(監督ユン・ジョンチャン)で大変身を遂げた。トレードマークだった長い髪をバッサリと切り捨て魅力的なボディーラインを安物の衣裳で徹底的に隠してしまった。更に、絶えず心細い表情でタバコを吸いながら顔面いっぱいの赤い痣と傷をメークしなければならなかった。女優なら誰しも美しく魅力的な姿でカメラの前に立ちたいのが当然。しかし、チャン・ジニョンがこのようにイメージチェンジをしたのに、むしろ以前には感じることがなかった独特の雰囲気と魅力が強烈に感じられるようになった。
専属モデルをしている化粧品会社の了解を得ながらも果敢な変貌を敢行したのは、単純にイメージチェンジだけの次元ではない。チャン・ジニョンという女優の中に内在している可能性を引き出し、認められようとする演技者らしい発想が彼女を変えたのだった。
チャン・ジニョンは映画の中で、夫の暴力と子供の失踪という試練を経ながら崖っぷち立った女だが、ほんの少しメーキャップをして服を着替えれば洒落た都会の女性に変わる。ひと言でいえば千の顔を持った女優ということだ。
このイメージを100%生かして制作されたのが、コンピレーションアルバム「LOVE」である。キム・ソックンと一緒にアルバムジャケットを飾った彼女は、薄気味悪い位に美しく透き通るくらいに初々しい。今まで彼女が演じてきたどのキャラクターとも似ていなかった。もしかしたらチャン・ジニョン自身に一番近い姿かもしれない。2006年映画『恋愛その堪えがたい軽さ』 大韓民国映画大賞で主演女優賞を受賞したこと以外には、特別注目されなかったが、「チャン・ジニョンという女優の再発見」と評価された映画である。勿論『鳥肌』『青燕』での演技も良かったが、『恋愛その堪えがたい軽さ』でのヨナは、とても立体的な人物だ。ヨナは現実からスクリーンに入って来た女性のように、リアリティーが抜群に引き立つキャラクター。
彼女がこんなにも自由自在に変身できる原動力は、暇さえあれば読書するためだろう。撮影現場でもシナリオを読まないときは、いつも手に本を持っているという彼女は、先天的に持つ感性と後天的な努力でカメレオンのように変化自在な姿を演出しだしているのだ。映画界のブルーチップ、チャン・ジニョンの次の作品が期待される。 |